皆さん、こんにちは。
自民党の総裁選の告示が始まり9月27日の投開票まで政策討論をしていくことでしょう。でも今日の新聞やネットのニュースを見ていると支持を伸ばしている高市氏潰しが見られ、泥仕合の様相を呈していますね。
さて、そんな自民党総裁選で小泉進次郎氏が提唱していた「解雇規制の緩和」が日本の雇用に影響する政策論点だと思いますので取り上げてみます。
そもそも日本は高度経済成長期に優秀な人材をつなぎとめるために日本的経営スタイルを確立しました。その代表例が終身雇用と年功序列です。経済が右肩上がりのころは生活を安定させるための終身雇用は企業が従業員に与えられるインセンティブとして従業員のやる気を引き出すものでした。家族を形成し子育てしていく過程で生活費が増大することに対応して年功序列の賃金体系にすることも非常に合理的な仕組みでした。
しかし、バブルが崩壊して経済が低成長期に入ると終身雇用をするための原資となる利益が減っていき維持できなくなっていきました。日本はその当時、世界で有数の解雇規制が厳しい国だったので、まずは新卒採用の抑制を行ないました。まさに我々の世代が割を食ったわけですが人件費の抑制には寄与しました。これだけでは足りず中高年層の給与水準の高い人を整理する必要が出ました。これがリストラという名の退職勧奨、実質的な解雇につながりました。
この当時は不良債権問題とデフレの発生など社会情勢が混乱していたので、まずは経済の成長というよりは固定費を抑えて売り上げは上がらなくても利益を確保する経営が主流となっていたので採用抑制とリストラが行われていました。しかし、こんなことばかりしていても企業は成長せずグローバル競争に勝てなくなってきたというわけです。少子高齢化も加速してきているので生産性の向上とDXの推進、人手不足による若手人材の積極採用の時代に変わってきました。これが令和の雇用状況と言えます。
このような時代背景もあり、昭和型の雇用慣行を見直し令和型に変革しようというのが、どうやら小泉氏の主張のようです。解雇規制の緩和というと解雇の自由化ということにつながるイメージがあります。でも平成デフレ時代にリストラという名の実質解雇と人件費抑制のための非正規雇用社員の登用を行なったことで大っぴらにクビにしなくても人員調整をできるような環境は整っているのです。
なぜ今更、解雇規制の緩和などと主張したのかがよくわかりません。しかし、日本的経営の年功序列と終身雇用が労働者の健全なモチベーションを喚起することがないので、努力してスキルを身につけて自分で考えてお金を稼ぐための仕組みづくりをしたいのだろうなということは伝わりました。小泉氏はもう少しレトリックを学ぶなど伝え方の工夫が必要かもしれませんね。
いずれにしてもこれからの時代は福利厚生がしっかりしているとか土日休みだ、などと条件面だけを見て応募しても企業は皆さんを見向きもしなくなる時代がやってきていることは確かです。新卒採用でもどんな仕事をしたいのか、配属ガチャは嫌だという学生のためにジョブ型採用を行なう企業も増えてきています。自分の力を発揮できるであろうやりたい仕事をさせてあげます。しかし、結果を残さなかったらクビにします、ということであれば緊張感は今まで以上かもしれませんが給与や昇進で処遇されるので努力が報われる時代になったという前向きな見方ができます。
頑張った人が報われる社会、働き方を選べて親の介護や子育てで負荷を軽減できる社会が実現するのであれば雇用慣行の見直しはいいことなのではないかというのが私の意見です。単純に解雇規制を緩和してリスキリングをして、キャリアカウンセリングを受けて転職マッチングすれば社会が良くなるという仕事もしたこともない政治家の妄言にならないことを切に願うばかりです。
今日はこんなとこです。