こんにちは。
出張続きでブログが書けませんで、すみませんでした。
さてその出張の移動中に時間がたっぷりとれるので文庫化されたばかりの「海賊と呼ばれた男」を購入して早速読みました。さすが本屋大賞を受賞しただけあってとにかく面白い!働く人々に働く意味と希望を与えてくれる内容でしたね。読んでいない方はぜひ読んでくださいね。これは出光興産の創業者である出光佐三を描いたノンフィクション小説です。この中で前近代的ではあるけど家父長制に基づく大家族主義的経営と国益にかなうことが会社の利益にもつながるという考えのもと目先の利益ではなく何年も先を見据えた日本の利益のために働く姿という2つのポイントがあります。
まず大家族主義的経営に関しては、一歩間違えれば人権侵害と言われ裁判にまでなった近江絹糸の事例(三島由紀夫の「絹と明察」を読んでみて下さい」)になってしまいますが、店主(作中でこう言われている)の人柄と使命感に共感して働く従業員の姿があります。これは今では廃れてきましたが、高度経済成長期の年功序列と終身雇用の発展型なのではないかと感じました。馘もなければ定年もないし労働組合もない働き方を会社が保証できるのも使命感のためにとことんまで働く従業員との信頼関係があればこそだと思いました。つまりここで描かれている従業員たちはサラリーマンではないということです。
次に目先の利益だけではなく先を見据えた日本の利益のために働く姿についてです。新自由経済が日本に導入されてから10数年経ちますが経済合理性ばかりが重視され、会社は株主のものという風潮のもとアメリカのハゲタカファンドが弱ってる日本の会社を安値で買いたたいて高値で売り抜けるという何の使命感もなくただ金のために働く姿にうんざりしていた筆者にとって従業員が意義を見出し率先して働ける環境を描いたこの作品に大変共感しました。
確かに小説ですからよく書かれているのはわかりますが今の窮屈な会社人生は目先のためだけに帳尻を合わせて働いてると言わざるを得ないでしょう。これは本人の気の持ちようですが使命感を持って働くことの素晴らしさについて教えてくれた良書でした。
今日はこんなとこです。